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報告

クラブOB会訪問①:弓道部 OB 会「誠弓会」会長 島村 吉郎さん​ #1

#02に続く ≫

#01 ・ #02 ・ #03 ・ #04

 

【初めに】

城北学園は、旧制中学時代から数えて2020年11月1日に創立80周年を迎えます。

学園の歴史と同様に、長きに亘ってクラブOB会を営む会もあれば、歴史は浅くとも結束の固いOB会もあります。

また、クラブOB会の存在に気づかれていない年長のOBや、卒業して日の浅い若いOBなど、潜在的に関心をお持ちのクラブOBも多数存在すると推察しております。

この程、同窓会の広報・ホームページ委員会(以下委員会)は、クラブ活動の魅力や息づく伝統、輝かしい実績といった情報を、多くの会員に知っていただく取材企画を始めました。

委員会がクラブOB会長に話を伺って「記憶の掘り起こし」のお手伝いをし、その部活の歴史とエピソードを同窓会ホームページから発信することで、OBと現役生に再認識してもらう趣旨です。

これをきっかけにOB間、もしくは現役生との交流が活性化出来れば、当委員会として無尽の喜びです。

初回は中学・高校弓道部のOB会、「誠弓会」に取材しました。

【弓道部OB会取材】

  • 弓道部「誠弓会」OB会長:島村 吉郎氏[1974年(昭和49年)卒 第26回生]
  • 弓道部顧問:髙橋 浩昭教諭[1985年(昭和60年)卒 第37回生]・東京都高体連弓道専門部副委員長、東京都中弓連副理事長、東京都弓道連盟理事、全国私立高校連盟理事
  • 取材者:広報・ホームページ委員会 清水 康二[1983年(昭和58年)卒 第35回生]

取材日:2020年1月25日  

―――本文中敬称略

 

清水:弓道部の新しい道場に入るのは初めてです。的までの距離はどれぐらいあるのですか?

髙橋:28 メートル あります。的の大きさは直径36 センチ です。

清水:プール一個分以上の距離をゆうに飛び越えて、あんなに小さく見える的によく矢が当たるものですね!

島村:入ったばかりの中学生でも、3か月ぐらいすると、つまり夏休みには、的を狙えるようになります。

↑射手側から見た的

 

清水:弓道をやるのにはお金がかかりますか?

髙橋:矢と〝弽(かけ)“と言う手にかける道具、弓道着(道衣、袴、帯、足袋)は自前になりますが、それでも、例えばサッカー部のスパイクの買い替えやユニフォーム代よりは、費用は安く上がると思いますよ。弓は部が購入しています。

清水:クラブの歴史はどれくらいで、延べ何人くらい弓道部OBがいらっしゃるのでしょうか?

島村:創部は1957年(昭和32年)11月で、今年で63年目の歴史があります。1959年(昭和34年)の卒業生がOBの1回生にあたり、今年3月卒業の令和元年度の9名を加えると「誠弓会」在籍者は累計513名になります。この中には既に亡くなられた方も含まれます。

清水:63年間で500人という OB の数は、私が思っていたより意外と多いですね。

島村:学年によって違いこそあれ、 昔は OB になるのは年に5人から10人程度でしたが、今は20人でも珍しくないです。

髙橋:今年の高3は9人、高2は22人おります。今の高2は中学から続けて、ほとんどが辞めずに大部分が高校に残りました。

島村:今の全部員数は中学・高校生合わせて100名を超えているんですよ。

髙橋:特に中学生の部員数が以前より増えています。小学生を対象にしたクラブ体験や、文化祭の風船割で、弓道場に足を運んでくれた小学生に弓を引かせるデモンストレーションを毎回やるのですが、これがきっかけで入部してきた部員も何人かいます。

清水:中学受験する小学生のうちから弓道体験する事で、弓道の楽しさに目覚めて入部する大きな動機付けになるのですね。

島村:昔の城北ですと、中学は2クラスしかなかったので、高校生だけで15人から20人程度、中学生を入れても多い時で50名程度でしたので、今100人を超える部員数がいると、広いと言われている弓道場も手狭になっているのです。

清水:城北の弓道場は広い方なのですか?

髙橋:そうです。都内ではトップクラスに広いです。弓道場がある学校はあるにはありますが、城北の半分から1/3程度の広さが一般的です。

島村:この道場の広さからして、本来は1度に弓を引く人数は6人・6的が適正な数ですが、部員数が多いので、1.5倍の9人・9的で普段は練習しています。

髙橋:2代目校長の近藤薫明先生のご子息の正己先生が、弓道がお好きでいらしたようで、弓道場が先にできて、後から部ができたそうです。普通の学校は弓道部ができて校舎の隅で練習していて、後から学校が弓道場を作る、というのが一般的でした。薫明先生と正己先生がいらっしゃらなかったら、弓道場も弓道部もできていなかったかも知れません。

髙橋:近藤正己先生は、弓道部の最初の顧問でいらっしゃいました。

清水:東京都で何校ぐらい弓道部はありますか。

髙橋: 東京都高等学校体育連盟(高体連)弓道専門部に加盟する、男子校・女子校・共学全て入れて79校あります。中学校の数は30校に達してしていないので、東京都中体連に認められておらず、東京都中学校弓道連盟と言う独立組織になりますが、26校あって、ほとんど私立の中高一貫校です。

島村:弓道場がなければ弓道部もないので、私が現役の1970年代は、試合に出てくる高校は30校程度で、流派によって参加しない学校もありました。

清水:弓道に流派はあるのですか?

島村:今の高体連の弓道は小笠原流が主流です。その他にも日置(へき)流などあります。

清水:以前より弓道部がある学校数が増えているということですか?

島村:『ツルネ -風舞高校弓道部-』という、京都アニメーション制作のアニメがNHKで放映されたのがきっかけで、弓道の人気が出たと思いますよ。

髙橋:私は東京都高体連弓道専門部で、選手登録を担当していますが、東京都の高校生の登録選手は約2,600人いて、ここ数年は増加傾向にあります。全国の高校生の全競技の中で、弓道は選手登録数で10位ですから、『マイナースポーツの中では一番メジャー』です。

島村:競技人口では、柔道や剣道を抜いたと聞いていますね。

清水:私が在校時の1977年(昭和52年)から1983年(昭和58年)の間に弓道場が建替えられて、きれいになったのを覚えています。

島村:今の道場は三代目です。初代の弓道場は私が高校に入学した1971年(昭和46年)の時にはまだありました。二代目の弓道場は1978年(昭和53年)に、三代目の今の道場は、近藤薫明先生宅があった場所に1990年(平成2年)9月に新設されました。

↑初代弓道場 1957年(昭和32年)頃撮影

 

城北の弓道場は広く、このような道場を持っている高校は少なかったようです。昔は東京都の都大会の試合を城北の弓道場でやっていたそうです。

清水:東京都内でライバル校はどこですか?

髙橋:昔は年代にもよりますが、日体大荏原、國學院久我山、早大学院でした。最近は、東海大菅生、都立芦花、都立井草、都立美原、都立桜修館と言ったところでしょうか。都立が強いのは、高段位のベテランの先生や、学芸大学弓道部出身の若い先生方が熱心に教えていらっしゃるからです。都立ですから教員の異動がありますが、異動先を強豪校に育てます。都立千歳と合併した都立芦花は、この冬の全国選抜大会で団体優勝しました。うちはその都立芦花と都予選の秋季大会で、最後まで競って僅差で負けました。

島村:教える人によって現役の力量が断然違ってくるのですよ。城北が強くなったきっかけは、1969年(昭和44年)ぐらいに、早稲田大学弓道部出身の鈴木 弥四郎先生が顧問になられたことと、翌年に鈴木 弥四郎先生と同じ早稲田大学弓道部の同級生でいらした大川 宏先生が赴任されて、このお二人のおかげで強くなったと思います。

清水:初代から島村さんまで OB 会長はどなたでしたか。

島村:初代が大和田 稔さん[1959年(昭和34年)卒 第11回生]、2代目が澤田 紀雄さん[1959年(昭和34年) 卒 第11回生]、3代目が内田 浩さん[1973年(昭和48年) 卒 第25回生]、そして私が4代目[1974年(昭和49年)卒 第26回生]の会長です。

↑第4代弓道部OB会「誠弓会」会長:島村 吉郎氏[1974年卒 第26回生](左から2人目)

 

清水:先ほど、高段位のベテラン先生や、学芸大学弓道部の出身の先生が顧問になって教えたことで都立校が強くなったとお聞きしましたが、鈴木先生と大川先生のダブル指導で成績は変わりましたか?

島村:私が高校に入学した、1971年(昭和46年)から、卒業した後の1979年(昭和54年)までの間は、お二方の先生のご指導のおかげで、幾度かあったピークのうちの一時期を迎えられたと考えます。

清水:具体的にはどのような成績を収められたのでしょう。

島村:私が高3の時の1973年(昭和48年)、私自身が都総体で個人優勝して、三重県伊勢市であった第18回全国総体(インターハイ)に個人出場しています。

城北はこの年の都大会の秋季大会・新人大会、翌年の春季大会を3連続で団体戦優勝しております。翌1974年(昭和49年)も、私の1つ下で、誠弓会副会長の月岡 忠さん[1975年(昭和50年)卒 第27回生]が、都総体で個人優勝しており、第19回全国総体に個人出場しています。

さらに、1975年(昭和50年)の第19回関東大会で団体2位に、翌年の第21回全国総体では団体で出場しています。

1976年(昭和51年)は都総体で団体優勝、関東大会、全国総体ともに団体で出場するなど、個人の力量ばかりでなく、団体のレベルも高かったように記憶しています。

清水:おさらいになって申し訳ござませんが、都大会はどのようなものがありますか。

島村:私の頃は、東京都大会は春季、新人、秋季の年3回、その上に関東大会予選、国体予選、インターハイ予選(都総体)でした。

髙橋:現在の高校の都大会は、関東都予選、インターハイ予選(都総体)、都個人、秋季、新人、春季遠的の6つです。

清水:63年間の歴史で城北学園弓道部の通算成績はいかがですか。

島村:東京都大会の個人で優勝多数、団体で優勝多数、インターハイ(全国総体)個人出場が10回、最高順位は全国7位、団体出場が9回、最高順位は全国7位、関東大会は個人優勝1回、団体で3年連続準優勝、全国選抜で個人出場が4回、全国選抜で団体出場が6回と言う実績です。

清水:城北の数ある運動部の中でも、弓道部の輝かしい〝武勲“はもっと高い評価を受けてもいいですよね⁉

髙橋:弓道部のHP(http://johoku-kyudo.boy.jp/)では、戦績(大会結果)なども積極的に発信しています。HPでの情報発信は、部員たちの励みになることはもちろんですが、「弓道をやってみたいな」と思う受験生が増えてくれることを期待しています。

清水:今の若い弓道部OBや現役生が、この記事を読んで誇りに思ったり、発奮してくれたら嬉しいですね。

 

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